洗車で洗剤に食器用はOK?代用のリスクと正しい使い方を徹底解説

こんにちは。Car Wash LABO 運営者の「tomo」です。

週末の朝、さあ愛車をピカピカにしようと意気込んで洗車道具を準備していたら、肝心のカーシャンプーが切れていた。そんな経験はありませんか。あるいは、カー用品店に並ぶ洗剤の価格を見て、「中身は同じ洗剤なのに、なんでこんなに値段が違うんだろう?」「キッチンの洗剤で代用できたら、すごく節約になるんじゃないか?」とふと考えたことがある方も多いはずです。

実際に、インターネット上では「食器用洗剤で洗車しても問題ない」「むしろ汚れがよく落ちる」といった声もあれば、「絶対にやめるべき」「車がボロボロになる」という警告もあり、情報が交錯していて何を信じればいいのか迷ってしまいますよね。私自身も、洗車にのめり込む前は「汚れが落ちれば何でも一緒だろう」と安易に考えていた時期がありました。

そこで今回は、これまでの私の経験と、改めて調べ直した化学的な根拠をもとに、食器用洗剤を洗車に使うことの是非について、忖度なしの徹底検証を行いました。単なる「使える・使えない」の二元論ではなく、そのメカニズムやリスク、そして緊急時に代用する場合のプロトコルまで、詳しく解説していきます。

食器用洗剤で洗車しても大丈夫?」という疑問に対し、忖度なしで検証する記事のタイトルスライド

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記事のポイント

  • 食器用洗剤とカーシャンプーの決定的な成分の違いとメカニズム
  • ジョイやキュキュットなど、銘柄による特性の違いとリスク評価
  • 愛車を傷めないための「1000倍希釈」の黄金ルールと洗い方
  • コーティング施工車や樹脂パーツに与える長期的な影響

洗車で洗剤に食器用は使えるか徹底解説

結論から申し上げますと、食器用洗剤を使って自動車を洗うこと自体は物理的に「可能」です。車が溶けてなくなるわけではありませんし、泥汚れや油汚れを落とす能力は確実にあります。しかし、そこには「洗うこと」と「守ること」の大きな隔たりが存在します。

まずは、なぜこれほどまでに食器用洗剤の代用が議論されるのか、そのメリットと、見落とされがちな化学的なリスクについて深掘りしていきましょう。

洗浄能力にはチェックが入っているが、塗装保護機能にはバツ印がついている比較イラスト

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食器用洗剤を代用するメリット

多くの人が食器用洗剤を洗車に使おうと考える最大の動機、それは間違いなく「コストパフォーマンス」と「洗浄力」の2点に集約されます。

圧倒的なコスト削減効果

カー用品店で販売されている専用のカーシャンプーは、安価なものでも500円前後、高機能なものになると2,000円を超えることも珍しくありません。対して、スーパーやドラッグストアで売られている食器用洗剤は、特売日なら100円程度で手に入ります。

しかも、最近の食器用洗剤は濃縮タイプが主流で、ほんの数滴で大量の泡を作ることができます。これを洗車1回あたりのコストに換算すると、カーシャンプーが数十円かかるのに対し、食器用洗剤はわずか数円レベル。頻繁に洗車をするヘビーユーザーや、コスト意識の高い方にとって、この差は非常に魅力的に映るはずです。

油汚れに対する強力な分解力

もう一つのメリットは、その強力な「脱脂力」です。食器用洗剤は、お皿についた牛脂やラードなどの頑固な動物性油脂を、冷たい水でも分解できるように設計されています。

自動車の汚れも、排気ガスに含まれる油分や、アスファルトから跳ね上げたピッチ・タール、あるいは劣化した古いワックスなど、油性の汚れが多く含まれています。そのため、虫の死骸や油膜など、マイルドなカーシャンプーでは落ちにくい汚れがあっさりと落ちることがあります。

「汚れを落とす」という一点においてのみ評価すれば、食器用洗剤は非常に優秀なクリーナーと言えるのです。

ここがポイント

「安さ」と「油汚れへの強さ」。この2点が食器用洗剤を代用する最大のメリットですが、これはあくまで短期的な視点での評価であることを忘れてはいけません。

100円硬貨によるコストメリットと、ピカピカの皿による強力な脱脂力を示すイメージ図

車が傷む原因となる成分の違い

しかし、私が普段の洗車で食器用洗剤を推奨しないのには、明確な科学的根拠があります。それは、自動車用と家庭用では、配合されている「界面活性剤」の設計思想が真逆だからです。

比較項目 食器用洗剤(家庭用) カーシャンプー(自動車用)
ターゲット汚れ 食品由来の油脂(脂肪酸など) 泥、砂、排ガス、水垢
求められる泡 粘度が高く、油を包んで離さない泡 砂を巻き込み、水でサッと消える泡
潤滑性(滑り) なし(キュッとなる=摩擦係数増) あり(スリップ剤で摩擦低減)
保護成分 なし(むしろ保護膜を剥がす) 防錆剤、光沢剤、キレート調整剤

致命的な「潤滑成分」の欠如

洗車において最も避けなければならないのは「洗車傷(スクラッチ)」です。洗車傷の多くは、スポンジでボディを擦る際、微細な砂埃などを引きずってしまうことで発生します。

これを防ぐため、カーシャンプーには「減摩剤(スリップ剤)」や特定のポリマーが含まれており、スポンジと塗装面の間の摩擦係数を極限まで下げる(ヌルヌルさせる)設計になっています。これを専門用語で「流体潤滑」や「境界潤滑」の確保と言います。

一方、食器用洗剤のゴールは「キュキュット」させること。つまり、油分を完全に除去して摩擦係数を高めることが正義とされています。潤滑成分がない状態でスポンジを滑らせることは、塗装面に対してヤスリをかけているのと同じリスクを背負うことになるのです。

カーシャンプーの潤滑層が摩擦を防ぐ仕組みと、食器用洗剤が直接摩擦を起こす様子の比較図

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サビを呼ぶリスク

さらに見逃せないのが金属への影響です。カーシャンプーには、ボディの隙間に入り込んでも錆びさせないよう「防錆剤」が添加されています。しかし、食器用洗剤には当然そんなものは入っていません。製品によっては、粘度を調整するために「塩化ナトリウム(塩分)」が使われていることさえあります。

もし塩分を含んだ洗剤が、ドアのヒンジやフェンダーの裏側に残留してしまったらどうなるでしょうか。目に見えないところで、愛車の腐食(サビ)が静かに進行してしまう恐れがあるのです。

ジョイ等の弱アルカリ性の影響

洗剤の「液性」も重要なチェックポイントです。食器用洗剤には「中性」のほかに、「弱アルカリ性」や「弱酸性」の製品が存在します。特に、「ジョイ(P&G)」などの強力な洗浄力を謳う製品には、弱アルカリ性のものが多く見受けられます。

アルカリ性が塗装に与えるダメージ

弱アルカリ性は、酸性の油汚れを中和・分解する力に長けていますが、自動車の部材にとっては攻撃性が高い場合があります。

例えば、輸入車のウィンドウモールやルーフレールに使われているアルミ素材(アルマイト加工)は、アルカリ性の成分に触れると化学反応を起こし、白く濁ったり(白錆)、変色したりすることがあります。また、古い車の劣化したクリア塗装に使用すると、アルカリ成分が塗装の隙間に入り込み、さらに劣化を加速させる「ドライアウト」現象を引き起こす可能性も否定できません。

もし、どうしても手元にある洗剤を使わなければならない場合は、必ずボトルの裏面にある「液性」の欄をチェックし、「中性」と書かれているものを選んでください。「弱アルカリ性」の洗剤を車に使うのは、リスクが高すぎるため避けるべきです。

防錆剤が含まれていないことによるボルトのサビと、アルカリ性洗剤による変色リスクへの警告

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キュキュットは成分残留に注意

では、中性洗剤なら安心かというと、そうとも言い切れません。ここで問題になるのが、近年の洗剤のトレンドである「濃縮化」と「除菌・速乾成分」です。代表的な製品である「キュキュット(花王)」などを例に考えてみましょう。

濃縮タイプが招く「すすぎ残し」

現在の食器用洗剤の多くは、界面活性剤の濃度が30%〜40%と非常に高く設定されています(かつては20%程度でした)。これは少量でも泡立つようにするためですが、洗車においては「いつまでもヌルヌルが取れない」という弊害を生みます。

車のボディは食器のように流水でくまなくすすぐことが難しく、特にドアミラーの隙間やエンブレム周りなどは洗剤が残りやすい箇所です。高濃度の界面活性剤が残留すると、乾燥した後に白いシミとなり、これが「イオンデポジット」の核となって塗装を侵食し始めます。

柑橘系香料のリスク

また、多くの食器用洗剤に含まれる「オレンジオイル(リモネン)」などの柑橘系香料にも注意が必要です。リモネンは油汚れを溶かす優れた成分ですが、同時にポリスチレンなどの特定のプラスチックを溶かす性質も持っています。

もちろん洗剤に含まれる濃度は微量ですが、ヘッドライトカバー(ポリカーボネート)やテールランプなどの樹脂パーツに長時間付着したままになると、クラック(ひび割れ)や曇りの原因になる可能性があります。

ワックス落としや脱脂での活用

ここまでデメリットやリスクばかりを強調してきましたが、実はプロのディテーラーや洗車上級者の間では、あえて食器用洗剤(または同等の成分を持つ脱脂剤)を使用するケースが存在します。それは、「リセット洗車」と呼ばれる工程です。

あえて「守る機能」を捨てる時

新しく高性能なガラスコーティングを施工する場合や、種類の違うワックスに塗り替える場合、古いワックス成分や油膜が残っていると、新しいコーティングの定着が悪くなってしまいます。
このような場面では、カーシャンプーに含まれる保護成分や潤滑成分すらも「余計なもの」となります。そこで、塗装面を完全な「すっぴん(親水状態)」に戻すために、強力な脱脂力を持つ中性の食器用洗剤が活用されるのです。

コーティング前の下地処理として食器用洗剤を使用し、塗装をすっぴん状態に戻すリセット洗車の解説

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リセット洗車の注意点

これはあくまで「再施工」を前提とした特別な作業です。脱脂された塗装面は、いわば人間の肌で言う「洗顔直後の無防備な状態」。そのまま放置すれば急速に酸化・劣化するため、洗車後は直ちにコーティングやワックスで保護することが絶対条件となります。

洗車で洗剤に食器用を使う手順と注意点

基本的には、安全のために自動車専用のカーシャンプーを使用することを強くおすすめします。しかし、「出先でどうしても鳥のフンを落としたい」「専用シャンプーを買いに行く時間がない」といった緊急事態もあるでしょう。

そんな時のために、食器用洗剤のリスクをコントロールし、被害を最小限に抑えるための「正しい代用プロトコル」を詳しく解説します。

失敗しない希釈と泡立てのコツ

食器用洗剤を車に使う際、最も重要かつ絶対に守っていただきたいルールが、「徹底的な希釈(薄めること)」です。

黄金比率は「1000倍〜2000倍」

キッチンのスポンジに原液を垂らして使う感覚は、洗車では厳禁です。原液を直接ボディやスポンジに付けると、濃度が高すぎてすすぎ切れず、シミや変色の原因になります。目安としては、10リットルのバケツの水に対して、洗剤はわずか5cc〜10cc(小さじ1〜2杯)程度。プッシュ式のボトルなら、軽く1〜2プッシュで十分です。

バケツの水に対して洗剤を数滴垂らし、1000倍に薄めて使用する正しい希釈方法の図解

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泡の「質」を見極める

「そんなに薄くて汚れが落ちるの?」と不安になるかもしれませんが、心配無用です。バケツに水を勢いよく注いで泡立てた後、その洗剤液を指で触ってみてください。指同士をこすり合わせて、わずかに「ヌルッ」とする感触があれば、界面活性剤としての機能は十分に発揮されています。
モコモコの泡を作ることも大切ですが、それ以上に「成分を薄くして攻撃性を下げる」ことを最優先してください。

すすぎ残しを防ぐ洗い方の基本

食器用洗剤の泡は、油分を抱き込む力が強い反面、一度乾いてしまうと成分が固着しやすいという厄介な性質を持っています。そのため、普段の洗車以上に「時間との勝負」になります。

ワンパネル・ワンリンス法の徹底

車全体を一気に洗ってから最後にまとめて水をかける方法は、食器用洗剤を使う場合は避けてください。夏場などは、最初に洗った天井やボンネットの泡が乾き始め、シミになってしまいます。

推奨するのは「ワンパネル・ワンリンス」方式です。ボンネットを洗ったらすぐに水をかけて流す。右のドアを洗ったらすぐに流す。このように、部分ごとの洗浄とすすぎを繰り返すことで、洗剤が乾く隙を与えないようにします。

洗剤成分が乾くのを防ぐため、1パネル洗うごとに水ですすぐ手順を示したイラスト

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水はケチらない!

食器用洗剤の成分はしつこいです。通常のカーシャンプーの1.5倍〜2倍の水量ですすぐつもりで、特にドアノブの隙間、給油口の周り、ワイパーの付け根などは、しつこいくらいに入念に流してください。

ゴムや樹脂パーツへの劣化対策

車を構成しているのは鉄板だけではありません。窓枠のウェザーストリップ(ゴム)や、SUVに多い未塗装の樹脂フェンダーなどは、食器用洗剤の影響を最も受けやすいデリケートなパーツです。

可塑剤の「リーチング」を防ぐ

ゴムや樹脂製品には、柔軟性を保つために「可塑剤(かそざい)」という油分が含まれています。強力な脱脂力を持つ食器用洗剤は、汚れと一緒にこの可塑剤まで吸い出して(リーチングして)しまうことがあります。

可塑剤が抜けたゴムは硬くなり、ひび割れを起こします。樹脂パーツは白く粉を吹いたように劣化(白化)します。これらは一度起こると元には戻せません。

対策としては、最初からゴムや樹脂パーツには泡がつかないように注意して洗うか、もし付いてしまった場合は、時間を置かずに即座に水で洗い流すことです。「後で流せばいいや」という油断が、数ヶ月後の愛車の姿に大きな差となって現れます。

正常な黒いゴムパーツと、洗剤の影響で油分が抜けひび割れと白化を起こした劣化パーツの比較写真

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コーティング車に使う際のリスク

現在、多くの車がガラスコーティングやポリマーコーティングを施工されていると思いますが、コーティング車への使用は特に注意が必要です。

撥水性能の一時的な麻痺

コーティングの上に食器用洗剤の成分(界面活性剤)が残留すると、コーティング本来の撥水基の上に洗剤の膜が張ってしまい、一時的に水弾きが悪くなる(親水状態になる)ことがあります。これはコーティングが剥がれたわけではありませんが、機能不全に陥った状態です。

また、メンテナンスの観点からも、プロショップやディーラーの施工保証書を確認してみてください。多くのケースで「指定のメンテナンス剤を使用すること」や「中性カーシャンプーを使用すること」が保証継続の条件となっているはずです。

食器用洗剤を使用したことが原因でトラブルが起きた場合、保証対象外となるリスクがあることは覚悟しておきましょう。

洗車で洗剤に食器用を使う際の総括

長くなりましたが、最後に今回の内容をまとめます。

食器用洗剤は、その強力な洗浄力とコストパフォーマンスから、魅力的な代用品に見えるかもしれません。しかし、自動車の塗装やパーツを守るための機能(潤滑性・防錆性)が欠けている以上、常用することは愛車の寿命を縮める行為になりかねません。

私としての結論は、「緊急時の代用や、意図的なリセット洗車には使えるが、日常のメンテナンスには推奨しない」です。

数百円の洗剤代を節約した結果、数万円のコーティングを台無しにしたり、樹脂パーツの交換が必要になってしまっては本末転倒です。大切な愛車を長く美しく保ちたいのであれば、やはりメーカーが研究開発した「自動車専用のカーシャンプー」を使用することが、長い目で見れば最もコストパフォーマンスが高く、何より安心な選択であると私は確信しています。

愛車を長く守るためには食器用洗剤の常用を避け、専用カーシャンプーを使用すべきという結論スライド

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どうしても食器用洗剤を使う場合は、今回ご紹介した「1000倍希釈」と「即座のすすぎ」を徹底して、安全なカーライフを楽しんでくださいね。

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